TOP > 相続問題の基礎知識 > 相続財産管理人の選任申立
不動産の売買契約の途中で相手が死亡すると、登記ができなくなって困ることがあります。
また金融機関などから受けていた融資は、
本人が死亡すると負の遺産として分割されますが、
遺産を受け取る人が誰もいなければ、
貸していた金融機関としては回収できないことになります。
そこで子供や親兄弟を含め、相続人がいるかどうか明確でないときや、
全員が相続放棄を行なったとき、
利害関係者は家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てることができます。
相続財産管理人は親兄弟に代わって個人の資産や負債を整理し、
利害関係者に財産の分割を行ないます。
なお親子兄弟がいないことは、戸籍や除籍を綿密に調査しないと分かりません。
戸籍上はいなくても隠し子がいたりする場合もあります。
そのような調査も管理人の仕事のひとつです。
多くの場合は弁護士が管理人に選ばれます。
また利害関係者には債権者や債務者のほか、
故人の身の回りの世話をしていた人なども含まれます。
相続財産管理人の選任を申し立てるときには、
管理費用の前払いとして裁判所に予納金を支払わなければなりません。
その金額は財産によっても違いますが、最低でも20万円ぐらいはかかります。
費用が余れば返ってくる可能性はありますが、分割される財産が少ない場合は、
選任を申し立てるとかえって損をすることもあります。
申立を受けた裁判所は公告を行ない、相続人が名乗り出るのを待ちます。
2か月以内に誰も名乗り出なければ、
今度は債権者や受遺者が請求を申し出るよう公告します。
さらに2か月後には相続人捜索の公告が出され、
その後6か月以上を経過すると誰も権利を主張できなくなります。
ここまでで余った財産があれば、
それから3か月間は特別縁故者が分割を請求できます。
特別縁故者とは故人と生計を共にしていた者や、故人の介護をしていた者を指します。
最後まで残った財産は国庫に収納され、
こうして財産管理の手続きが終了することになります。