TOP > 相続問題の基礎知識 > 相続の際の成年後見者制度とは?
相続というのは、一般的にトラブルが発生する割合が高いことがよくあります。
たとえば、複数の人で遺産を分割するときには、
遺産分割協議という話し合いを行いますが、
遺産が現金や預貯金だけでなく、不動産や骨とう品などにまで及んだ場合、
だれがどの遺産を引き継ぐかで話し合いが成立しなくなることもあります。
また、生前贈与などを理由に持分の割り増しを主張することなどもありますので、
調停や裁判まで発展することも珍しくありません。
このような話し合いにおいて、
相続人の一人以上に正常な判断ができない人がいた場合には、
他の人と比べて不利益な分配になる可能性が高くなります。
そのため、本人に代わり、正常な判断を行うことができる後見人を立てて、
話し合いに参加するという手続きをとることで、
本人の不利益を防ぎ、公平な遺産の分配を目指すことができます。
このような手続きのことを成年後見者制度といい、裁判所に申し立てて行います。
成年後見者制度とは、判断能力が欠如した本人に代わり、裁判所とも協議しながら、
本人の権利や資産などを適切に管理していく手続きです。
本人が判断できないということを証明するために診断書を用意したり、
戸籍や住民票などの書類を準備する必要がありますので、
通常は弁護士や司法書士などに作成を依頼します。
この時、本人の財産を管理する後見人を選ぶことになりますが、
ほとんどの場合はあらかじめ候補者を用意しておいて、
成年後見者制度の申し立てをするときに申告します。
後見人になった人は、本人の財産目録を用意して、
毎日の収支を管理して定期的に裁判所に報告しなければなりません。
領収書などは保管する必要がありますし、
資産を処分するときや相続人として相続の話し合いをするときなど、
通常の生活にはない手続きを行うときには、裁判所に許可をとるなどの業務があります。
成年後見者制度を利用すると、
相続においても本人が対等な利益を受けられるように手続きが進みます。