アパートやマンションなど、賃貸している不動産を相続したときは、
相続税を支払う必要があるのは当然ですが、
その後の経営においても各種の税金が発生します。
いざというとき手間取ったり、申告を間違えて追徴課税されたりすることがないよう、
相続前から税務に関する知識を押さえておくことは大切です。
アパートやマンションでは家賃のほかに、
敷金・礼金・更新料・補助金などのお金が入ってきます。
これらのうち何を収入として計上すべきかは、その実質によって判断します。
たとえば敷金は預かり金となるため除外されますが、
一部でも返還しないことになれば、その部分は収入になります。
また計上する時期も重要です。
原則として翌月分の前家賃は、受け取った年・月に計上しなければなりません。
一方未収家賃は受け取っていなくても、受け取るべき年・月に計上する必要があります。
ただし現金主義による経理を採用している場合は、
実際に受け取った年・月に計上します。
事業用の不動産では、必要に応じて無償で賃貸するケースがあります。
たとえばテナントを引き抜くため、サービスとして一定期間だけ家賃を無償にしたり、
配偶者や子供に経営させるため、所有する店舗を無償で貸し与えたりする場合です。
これが売買契約だと、価格が不当に安ければ「みなし譲渡」の規定が適用され、
相場なみの価格で売買されたとして課税されることがあります。
しかし賃貸の場合はこの規定は適用されず、
収入も消費税も計上する必要はありません。
一方必要経費の取り扱いについては、目的によって判断が分かれます。
サービスとして無償で貸している場合は、将来のための投資の一種と考えられるため、
経費も損金に算入することができます。
しかし家族に店舗などを使わせている場合は、
単なる使用貸借であって事業ではないので、
経費を控除することはできません。
このように賃貸物件の収支に関しては、
あくまでも実質的に判断することが基本となります。