築20年経過した木造建築物の基礎に関して

建築基準法の改正という問題

建築基準法も改正がなされるために、20年以上前に建てられた建物ですと、
当時では必ずしも建築基準法違反、とはいえなかったようです。
平成12年以前では、建物の基礎に鉄筋を入れなければならない、
という規定にはなっていなかったようだからです。
また、建築業者が設計図面通りの建築をしていなかった場合であっても、
その責任に対する時効は20年ということなので、
20年前の不動産ということになると、かなり責任追及が難しいことになりそうです。
この建物が、元々、自分のものとして建てられたものだったのか、
それとも他人のものであった中古物件を購入したものなのかによっても、
その対応は違ってくるのですが。
もしも、他人の中古物件を購入したものである場合には、
その際に、仲介した不動産業者が、その建物の内容をきちんと説明していたのか、
ということが問題になるでしょう。
また、当初の建築工事で、設計図面上では基礎に鉄筋を入れるようになっていたのに、
工務店がそれをやっていなかったという場合には、
手抜き工事として、その工務店の責任ということになるのでしょうが。

法律違反でない場合の責任追及

20年以上前に建てられた建物であれば、
当時の建築基準法の規定も今とは違っている場合もありますし、
その際の設計図面と建築業者による施工の実態、
そして、完成した建物を引き渡す際の不動産業者の説明内容、
といったもの全般について、具体的に検証してみなければならないでしょう。
もしも建築当時の建築基準法では、建物基礎への鉄筋施設の義務がなく、
違法ではなかった場合でも、設計図面では鉄筋を入れるようになっていて、
工事をした工務店が鉄筋を入れていなかったのであれば、
これは手抜き工事となりますから、その責任があることになります。
また、そのことについて、建物の売却仲介を行った不動産業者は、
知っていたのかどうか、もしも知っていて買主には知らせていなかったならば、
その不動産業者にも責任がある、ということになるでしょう。
こうした場合に、施工した工務店に対する責任追及と、
不動産業者に対する説明義務違反の追及ができるのか、ということが問題なのですが、
民法570条による損害賠償請求というものが検討できるようです。

 

Back to Top