戸籍上の名前を変更するためには、家庭裁判所に申立を行なって、
許可を受けなければなりません。
改名申請には正当な事由が必要とされ、正当かどうかは裁判官が判断します。
たとえば珍奇な名前や読みにくい名前、異性や外国人と紛らわしい名前などは、
改名申請が通りやすいと言えます。
また過去に虐待などの経験があり、昔のことを思い出したくない場合なども、
改名が認められる可能性があります。
こうして改名が認められたときは、不動産の登記も変更しなければなりません。
不動産登記は原則として売買や抵当権設定のときに行ないますが、
住所や名前を変更したときにも行なう必要があります。
これは住民票の移転などとは違って、
一定期間までに行なうべしという制限はありません。
しかし何もせずに放っておくと、
その不動産を売却したり担保にしたりすることができなくなります。
ですから姓や名が変わったときは、
できるだけ早めに手続きを済ませておくのが望ましいでしょう。
改名したときに行なうのは、記載事項変更届です。
手続きは法務局で行ないます。
必要なものは基本的には戸籍抄本と印紙代ですが、
場合によっては他の書類も用意しなければなりません。
代理人が申請するときには委任状が必要です。
ここでタイミング的に面倒だと思われるのは、
家庭裁判所へ改名申請中に不動産の売買を行なう場合です。
改名申請は通るかどうか確実ではないので、
売却手続きは旧名で行なうのが妥当でしょう。
引越し先の新居をどちらの名義にするかは、その場の判断によります。
いちいち後から変更するのが煩わしいならば、
改名申請が通るのを待ってから手続きを行なうという方法があります。
また登記簿は誰でも閲覧できることから、
新しい名前を知られたくないという理由で、
できれば旧名を載せたいという人があるかもしれません。
そのようなことも可能ではありますが、
やはり将来売却できないなどの問題が起きる可能性がありますから、
建前的にはお勧めできません。